鴨池クライミングウォール入門

1.やろうと決心したら!
 鹿児島市内にお住まいの方でフリークライミングをやろうと決心したら、とりあえずやっている人にくっついて登りに行くことでしょう。この場合、鹿児島大学山岳部の場合は非常に楽でフリークライミングをやっている人がたくさんいますので、その人達に頼み込んで連れて行ってもらうことです。近くにフリークライミングをやっている人がいないという場合には、鹿児島山岳会、鹿児島勤労者山岳会、鹿児島黒稜会などの社会人山岳会と連絡を取ってみるか、思いきって鴨池クライミングウォールに行ってみることです。


2.最初から登れるわけない!
 初めてクライミングウォールを登って真ん中の方の5.10cくらいのルートを登れたあなた。かなりの素質を持っています。今すぐフリークライミングを始めましょう!
 では一番簡単そうなルートの3分の1も登れなかった場合は…。全然くよくよする事はありません。それが普通です!真面目に練習すれば半年くらいでどんどん登れるようになりますよ。それだけ上達する喜びが味わえるということです。がんばりましょう。
 一番簡単そうなルートをあと一歩で登れなくて悔しいと思ったあなた。登れないことが「悔しい」と感じた方はかなりのメンタル的な素質を持っています。「悔しい」と思ったあなたは次は登れるようにと考え、トレーニングをし、再びチャレンジするでしょう。その「登れない」→「悔しい」→「考える」→「トレーニングする」→「再度チャレンジする」というサイクルが成り立つ人は、最初は下手クソでもどんどん上達していきます。次の1回や2回では登れないルートも20回、30回、いや100回くらいチャレンジすれば自ずと登れてくるものです。
 ルートの半分くらいであまりの高さから恐怖に震えてしまったあなた。それが正常です。ある程度の怖さは登っているうちに慣れますし、腕をプルプルさせながら、次のホールドを必死に取ったときの「こぇかったなーーぁ」というのもクライミングの醍醐味かもしれません。恐怖も楽しみの一つに変えるくらいの勢いでクライミングに励むとよいでしょう。
 大体、新人にフリークライミングをやらせると7割くらいの人はやりません。クライミングの面白さを知る前に恐怖やあまりの登れなさにヘコんでやめてしまいます。残念なことですが、フリークライミングは万人向けのスポーツではないと私は思っています。確かにサッカーのようにボールを蹴ってそこそこ楽しいならやる人はどんどん増えますが、腕がきつい、最初から全く登れない、怖いときたら普通の人ならやりませんわな。だけど、フリークライミングは練習をすればするほどハマるんだな、これが。
 初めに登ってみて少しでも楽しいなあと思った方はどんどん練習してうまくなって欲しいなあと思います。


3.初めにやることは、一緒に登ってくれる人を見つけること
 ちょっとフリークライミング始めたくなった。まずやることは?と聞かれたら、一緒に行ってくれる人を見つけることです。そうクライミングは一人ではできません。上手くなったらユマールなどの特別な器具を使って単独でやる人やボルダリングに一人で出かける人もいますが、一般的にビレーヤー(下でロープを操作する人)がいないとフリークライミングはできません。
 鹿児島大学山岳部に入った方は、先輩がその役をやるのですが、普通の人なら一緒に行ってくれる人を探さねばなりません。一緒に行ってくれる人は、自分よりかなり上手い人を探しましょう。また、教え上手な人を探すのもポイントかもしれません。フリークライミングには独特の動き、ムーヴがあります。他人が登っているのを観察してそのムーヴを盗み、そして自分でもムーヴを覚えながら練習すればうまくなるのではないでしょうか。


4.フリークライミングの道具を買おう!
 最初の2、3回は道具を借りられたら借りるべきでしょう。山岳部の場合は、古いですが貸せる装備がありますので、どんどん使ってください。ただある程度やってみて、フリークライミングをやってみたいなと思った方は道具を買いましょう。
 最初に買うのはクライミングシューズ、チョークバッグ、ハーネス、安全環付カラビナ、確保器。これらの装備はよく知っている人が一緒に付いてきてもらいましょう。
 私も道具に関してはあまり詳しくないですので、マニアックなことは書けませんが、一般的なことだけ書きます。

  • クライミングシューズのサイズは小さめを買いましょう。
  • ハーネスはサイズだけで見るのではなく、必ず試着しましょう。ゆるいものは危ない!
  • 安全環付カラビナはスクリュー式とオートロック式がある。
  • 確保器は現在のところATCの使用率が一番高い
                               (2004年10月現在)
                        (この辺は後から書き足します)

 あと経済的に余裕があるなら、ロープとクィックドローもあれば完璧。
  • ロープは10.5ミリか11ミリ径以上のものを買う。(今はもっと径の細いものも売り出されるが、鴨池クライミングウォールでは許可されていないので注意すること)
  • ロープの長さは鴨池クライミングウォール専用ならば30メートルが便利。自然の岩場と併用ならば50メートルがよい。
  • ロープのメーカーは私が使ってみた感ですが、ベアール社製は安いが毛羽立ちが早くでてきて消耗が激しい感があります。(他社も使ってみて、またレポートします)
  • クィックドローは9本必要。
  • クィックドローはセットで売られているものの方が安い。
  • クィックドローは3本ほど30〜45センチのちょっぴり長めのスリングがついたものを買うとよい。



5.ビレーを完璧に覚えよ!
 さあ、自分の道具がそろったらバリバリ登りたくなるが、ちょっと待って欲しい。
 自分の登る技術を覚える前にビレーの技術を完璧に覚えて欲しい。他の人をビレーしてあげれないとまだ一人前の鴨池ボードの仲間にはなれない。
 ビレーというのは、下でロープを操作して上でまさかの墜落(激しく落ちること)の時にグラウンドフォール(地面に落ちること)しないよう確保器を使って止めること。一応、ATCやルベルソなど確保器具があるので力はそんなに要らないのですが、きちんとしたビレーの方法を知らないと登っている人を地面に落とし大怪我や死亡事故を起こしてしまう恐れがある。
 ここではビレーの仕方までそんなに詳しく書くことはできません。あまり中途半端なことを書くと事故の原因になりますし、ビレーについての詳しいことは各種クライミング講習会などきちんとした場所で習って欲しいと思います。
 ビレーについてはだいたいできるというのでは絶対いけません。100回墜落があれば100回きちんと止められるという自信がつくまではやるべきではないと思います。
 墜落を止めるときの衝撃は相当なものになりますので、一度タイヤなどを落として実際の衝撃を体験しておくとよいでしょう。そのような衝撃を体験しながらビレーの練習を行っています。


6.登れば登るほどうまくなる!
 さて、道具も買ってビレーもひととおりできるようになればどんどん登りましょう。
 最初の頃は登れるルートも少ないでしょう。しかし、同じルートばかり練習しても飽きますし、あまり上手くなりません。ちょっとオーバーグレードのルート、つまりちょっと難しくて手が出そうにないルートにも積極的にチャレンジしてみましょう。
 初期の頃は、自分が登れない原因を筋力がないからだと思ってしまいがちです。筋力がないからといって筋力トレーニングばかりするのも考え物です。できればこの時期は、数を登ることに集中するべきだと思います。
 昔、鹿児島に人工壁がなかった頃。金峰山に週1回か2回行っては、必死に懸垂やダンベルを使った筋トレを行いました。だけどあまり上手くなりませんでした。人工壁ができ、週に3回程度通うようになってからは以前より早いスピードで力が付きました。登り込みの大切さを痛感しました。
 最初のうちは筋力がないのが当然ですから、その間にできるだけムーヴを覚えるようにしましょう。


7.登るペース
 うまくなりたいと思ったら、周期的にボードに通うことです。3日登って1ヶ月全く登らなかったら実力がほとんど戻ってしまいます。できれば週2回ペースくらいで登りたいものです。
 鴨池ボードの仲間の中で言われいることなんですが、「週2回ペースで1年間続ければ、誰でもすごく上手くなる」ということです。週1回のペースでは力の現状維持がやっとだということです。

8.時には自然の岩場にも行こう
 うまくなってきたら人工壁にも飽きてきます。最初は人工壁ひとすじと決め込んだ方も近郊の岩場に行ってみましょう。ボルトの間隔の遠さに愕然とするかもしれませんし、人工壁と違った感触が楽しめるでしょう。
 いろいろ触っているうちにやっぱり自然の岩場の素晴らしさを実感するに違いありません。
 人工壁はホールド、スタンスが人間が登れるように計算されて作られています。まあ、高難度のルートは登りやすいように配置されているわけではありませんが、ある程度ムーヴを計算されて作られています。
 しかし、自然の岩場はそうではありません。まったく偶然に存在するスタンスやホールドを探しながら登っていくのです。そのルートを初めて登った人の思い入れなんかを登りながら感じることもあります。
 毎日練習できる人工壁、休日にしか行けない自然の岩場。両方に一長一短がありますから、相互に練習すると岩登りの楽しみ方が広がっていくでしょう。 


 安全にそして楽しく登りましょう。最初の頃は登れないばっかりでちょっぴりヘコんだり、登ることが苦痛になるかもしれません。あまり楽しくなくても3ヶ月くらいは我慢してみましょう。それでも嫌いだったやめればいいし、辞めるのはいつだってできるのですから。
 とにかく登ることが楽しく感じてくれば、ずっと長続きすると思いますよ。ぜひ頑張ってみましょう。

2004年11月 MN

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